生活習慣病と睡眠障害

睡眠は体の病気とも深いつながりがあります。気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、心臓病などの病気にかかっている人は夜間の息苦しさや、かゆみなどのために眠れないことが多く、かかりつけ医から睡眠薬を処方してもらうことも少なくありません。

最近、特に注目されているのは高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病と睡眠の関係です。

例えば、糖尿病では多尿・頻尿、神経痛などのため不眠がでやすく、また逆に睡眠障害が生活習慣病を悪化させることも明らかになっています。睡眠不足になると食欲を増すホルモンであるグレリンの分泌が増え、逆に食欲を抑えるレプチンが減るため、肥満につながりやすくなるのもその一例です。

また、睡眠時無呼吸症候群や慢性不眠を放置しておくと、睡眠中にも交感神経の緊張が続き、本来夜間には下がるべき血圧や心拍数、血糖が高止まりしてしまうことが明らかになっています。特に、生活習慣病に睡眠時無呼吸症候群を合併すると脳卒中や心筋梗塞などのリスクが格段に高まります。肥満や大きないびきがある、夕方よりも朝に血圧が高いなどの症状があるときには、検査を受けることをお薦めします。逆に睡眠障害が治ると生活習慣病も改善し、インスリンや降圧剤を減量できることもあります。睡眠と生活習慣病は良くなるときも悪くなるときも一緒の、深い関係があるのです。

また、さまざまな疾患の治療薬が不眠や過眠などの原因になっている場合もあるので注意が必要です。表3に睡眠障害の原因となる代表的な治療薬を例示しました。