概日リズム睡眠障害

別名、睡眠・覚醒リズム障害とも呼ばれます。体内時計の調節障害のために、睡眠時間帯の異常が持続する睡眠障害の総称です。睡眠相後退型、睡眠相前進型、フリーラン型、不規則睡眠・覚醒型などがあります。また、体内時計に問題がなくても、時差飛行や交代勤務のために睡眠時間帯を人為的にずらしたために生じる不眠や心身の不調も概日リズム睡眠障害に含まれます(時差型、交代勤務型)。

睡眠相前進型患者では、夕方から強い眠気が生じ、午後7時過ぎには眠気に勝てず寝てしまい、午前3時頃など深夜に覚醒するなど睡眠時間帯がきわめて早くなります。このような“早寝”は望んで行っているのではなく、残業もままならないため社会生活上も支障があります。

睡眠相後退型患者では、午前3時以降など深夜にようやく寝付き、一旦入眠すると睡眠時間はむしろ長めであるため、昼過ぎになってようやく覚醒します。単なる夜型(宵っ張り型)と誤解されがちですが、早めに起床する必要があっても全く覚醒できず、遅刻を繰り返したあげくに中退や退職などに追い込まれることも少なくありません。

フリーラン型は、非同調型とも呼ばれます。フリーランとは、生物時計が24時間周期の昼夜サイクルに同調しなくなり、24時間周期からはずれて出現する現象をさします。フリーラン型患者の入眠・覚醒時刻も日々遅れていきます。睡眠時間帯が夜間にある時期は無症状ですが、遅れるに従って徐々に寝付きが悪くなり起床困難が生じます。

睡眠時間帯が日中にずれこんでしまうと、強い眠気、集中力低下、倦怠感などに苦しみます。不規則睡眠・覚醒型患者では、睡眠が一定の時間帯にまとまらず昼夜を問わず出現し、一日3回以上の睡眠エピソードが細切れに出現します。いつ眠り、いつ起きるのか予測がつきません。認知症、頭部外傷、精神発達遅滞など生物時計の器質障害が生じる患者さんでみられます。昼夜を通じた総睡眠時間は年齢相応に正常なのが特徴です。