適切な就床時刻とは
私たちは何気なく同じような時刻に就床・起床しています。このような睡眠習慣はどうやって決まっているのでしょうか。実は脳内にある体内時計の指令によって、自然な眠気が出てくる時間帯に合わせて無意識のうちにベッドに向かっているのです。体内時計は視交叉上核(しこうさじょうかく)という左右一対の神経核の中にあります。小さな神経核ですがその指令は大変強力なため、体内時計に逆らって普段と違う時間帯に就床してもなかなか寝つけず、また普段寝ている時間に夜勤や徹夜をするときには強い睡魔と戦うことになります。
寝やすい時刻には大きな個人差があります。1クラスに40人いるとすれば、夜10時ごろには眠くなる朝型から、早朝4時ごろまで眠気が来ない夜型の人まで、就床時刻だけでも6時間以上の開きがあることが分かっています。床に就く時刻は生涯変わらないわけではなく、年齢とともに寝やすい時間帯も変化します。幼児期は早寝で睡眠時間も長く、昼寝もできます。その後、10代後半に強い夜型になりますが、30代以降には徐々に朝型に転じ、50代以降には早朝に目を覚ますようになります。
仕事や学校によって朝型、夜型にかかわらず同じ時刻に早起きしなくてはならないため、夜型の人の睡眠時間は圧倒的に短いことが多いのが現状です。当然、日中は眠くて仕方がありませんが、たとえ寝不足であっても、夜になると目がさえて早寝ができない、というのが夜型たるゆえんと言えます。