現代社会と睡眠
人工衛星から地上の夜景を写した写真が米航空宇宙局(NASA)のホームページにあります。北米、欧州と並んで一段と強くこうこうと輝いているのが日本。24時間社会、夜型社会を実感させられる一枚です。
NHKの国民生活時間調査によれば、1941年には国民の90%は午後10時50分に就床していましたが、60年後の2000年にはそれが午前1時となり、2時間以上も遅くなっています。日本人の睡眠時間は、一貫して減少を続けているのです。睡眠を犠牲にしたライフスタイル(生活習慣)は、もはや限界が近づいています。
その証拠に、睡眠問題に端を発した事故や健康被害が増加しています。米国のスリーマイル島原発事故やスペースシャトル「チャレンジャー」の爆発事故、日本では新幹線運転士の居眠り運転など、さまざまな事故の背景に睡眠不足や交代勤務による疲労蓄積、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害との関わりが明らかになっています。
睡眠問題に起因する事故や健康被害、休業などによる損失額は国内だけで年間3兆5000億円にも達するとの試算があります。ストレス、人口の高齢化、精神疾患の増加などにより睡眠障害も増加の一途にあります。いま一度、持続可能で健康的な社会システムの構築という視点から、このあたりで睡眠問題を見直してみる必要があるのではないでしょうか。